質問者
月経不順のため受診したところ多嚢胞(たのうほう)性卵巣と診断され、排卵していないと言われました。
どんな病気なのですか、妊娠希望です。
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
多嚢胞性卵巣とは、排卵障害の7割を占める典型的な排卵障害の病態です。
日本では、生殖年齢の10人に1人が多嚢胞性卵巣と言われております。
その診断基準は、①月経不順(排卵障害も含む)、②生理時の卵胞数が多い(具体的な数字は約30個~)、③月経時のホルモン検査で黄体形成ホルモンLH対卵胞刺激ホルモンFSH比が1以上かつLH≧7以上、または男性ホルモン高値の3項目です。
全て当てはまる場合を日本では多嚢胞性卵巣の診断基準にしております。
欧米では、①~③(③は男性ホルモン高値のみ)のうち2つを満たせば多嚢胞性卵巣の診断になります。
対処の仕方は、この病態はたまにしか排卵しませんので自然排卵して妊娠する可能性はありますがかなり低くなります。
排卵障害のため排卵誘発剤を使用することになりますが、排卵誘発剤のうち内服薬は効果がないと考えられます。
内服薬は自然周期の卵胞刺激ホルモンを誘導するので、自然周期で排卵しない多嚢胞性卵巣の病態には全く効果がないと考えられるのです。
なので、誘発剤の選択は注射薬になります。
卵子は多数ありますので妊娠する確率は高く、さらに年齢が若ければ若いほど妊娠率は充分あると思います。