今月号のココラのコラムの説明文です。
2011年Sunkaraらが、どの年代においても採卵数と生児出産との間には相関を認めると報告したことより、生殖補助医療(ART)における採卵数は妊娠率のマーカーと考えられています。
多くの卵子を確保するために、調節卵巣刺激を行い最終的に卵胞の成熟のためにhCG5,000~10,000単位で排卵誘起させる(hCGトリガー)ことは標準的な方法として使用されています。
半減期の長いhCGには卵巣過剰刺激症候群(OHSS) を誘発する生理的活性が認められています。
OHSS発症を予防するために点鼻薬を使用し排卵誘起(GnRHアゴニストトリガー)で採卵後、受精卵を凍結、次の周期に凍結胚移植を行うオールフリーズ、セグメンテーション(凍結胚移植)という治療アプローチが行われ、そのOHSS予防効果と治療成績が報告されています。
今回、当院で行っている全胚凍結症例の排卵誘起別にGnRHアゴニストとhCGのトリガー別に治療成績とOHSS予防効果ついて検討してみました。
対象と方法は、2022年4月から2023年12月までの期間で採卵を行った187症例336周期を対象としました。
対象症例全例に調節卵巣刺激を行い、採卵後体外受精および顕微授精を施行し全胚凍結を行いました。
対象症例を排卵誘起法別にGnRHアゴニストトリガー群117名179周期、hCGトリガー群70名157周期とし、後方視的に比較検討を行いました。
今回検討の臨床的妊娠率を下記に示します。
GnRH Agonistトリガー群 | hCGトリガー群 | ||
凍結融解胚移植 | 186例 | 93例 | |
妊娠数 | 107例 | 39例 | |
妊娠率 | 57.5% (107/186) | 41.9% (39/93) | P<0.02 |