今月は、人工授精と体外受精の妊娠率について述べました。
直接卵子を取り出して受精を確認、なるべく良好胚(受精卵)を移植しますので、体外受精の方が妊娠率の良いのは当たり前の話です。
体外受精でも妊娠決め手は多く卵子を獲得することです。
採卵で得た卵子の数と妊娠率についてはアメリカ生殖医学会のデーターでは、体外受精・顕微授精の妊娠率は、34歳以下20個採卵で40%、35~37歳20個採卵で37%、38~39歳20個採卵で27%、40歳以上20個採卵で16%です。
人工授精の排卵数と妊娠率は、当院の治療成績を学会で発表いたしましたので下記の表を参考にしてみて下さい。
表)排卵誘発剤注射薬併用人工授精における妊娠例と非妊娠例の比較検討
妊娠周期 | 非妊娠周期 | 有意差 | |
対象周期 | 147 | 176 | / |
排卵数 | 2.29±0.11 | 1.96±0.1 | あり |
誘発剤の使用量から見た比較 ①注射薬使用量(単位)(内服薬併用あり) 注射薬使用平均回数 ②注射薬使用量(単位)(内服薬併用なし) 注射薬使用平均回数 | 589.2±50.1 3.9回 1,247.3±50.1 8.3回 | 558.2±72.7 3.7回 1,252.7±92.9 8.4回 | なし なし |
人工授精の実施時期による比較 排卵後に行った人工授精の割合 | 70.1% (147例中104例) | 42.6% (176例中101例) | あり |
この治療からは、妊娠している症例では有意に排卵数が多く、人工授精を行う場合は排卵後のほうが妊娠率は良いということになります。