質問者
左卵巣に腫瘍があり、子宮内膜症と言われました。
がんになる可能性もあると聞くので心配です。
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
子宮内膜症は、月経時に剥がれた子宮内膜が卵管を通って腹腔内にこぼれ卵巣に付着して、女性ホルモンで発育し卵巣にチョコレート状の液体を入れた嚢胞(のうほう)を造ります。
腫瘍とは新生物のことを指しますので、子宮内膜症は腫瘍ではありません。
しかし、子宮内膜が部位を変えて発育した子宮内膜症のがん化の報告もあります。
2008年に212施設で17年間子宮内膜症の調査した結果、6,398症例のうち46症例0.72%にがん化が認められた報告がされています。
発症年齢は、高齢の症例に多いとされています。
具体的な年齢では、がんに罹患するリスクが現れるのは43歳以上とされています。
また、超音波検査でがん化に注意する所見は嚢胞の大きさ7.9㎝以上、嚢胞内の隆起病変の高さ1.5㎝以上や隆起病変の縦横比が0.9以上などの場合は要注意と報告されています。
子宮内膜症がご心配の方は大勢おられると思いますが、1年に1回以上は子宮頸がん検診を兼ねて子宮内膜症嚢胞の大きさをチェックしてみてはいかがでしょうか。
生殖年齢の方は、子宮内膜症による卵子への影響が大きいので基礎体温で高温相をチェックすることをおすすめします。