質問者
妊娠は何歳まで可能ですか?
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
妊娠という定義を、出産までの妊娠とすると理論上は44歳までです。
これは、卵子の染色体異常の割合から推定できます。
35歳未満は、卵子の染色体異常は10%、この卵子が受精卵になると半分くらいが分裂時にミスプリントが起き、50%くらい染色体異常が起きると言われています。
44歳では、70%の卵子の染色体異常(45歳以上では100%)があり、この卵子が受精卵となり孵化する前段階の胚盤胞になるその時の染色体異常率は80%となります。
44歳で排卵する卵子が正常な染色体の受精卵になる確率は30%×20%で6%(0.06)となります。
さらに、卵子の受精する確率は平均80%で、その受精卵のうち孵化する前段階まで到達する確率は平均40%と考えられていますので6%よりさらに正常染色体の卵子は減少します。
たくさん卵子を得ることができる体外受精のような治療でも妊娠の確率はかなり低いことがわかります。
44歳では自然の1個のみの排卵でのタイミング法ではかなり妊娠が難しいこととなります。
当院では低い数字になりますが、昨年も44歳で採卵・胚移植で妊娠された症例を経験しています。
少し工夫をした治療が必要になりますが、可能性はあるかと思います。
ただ、保険適用が42歳までですので早めの治療を決断されることをおすすめします。