質問者
妊活中ですが、排卵誘発剤には内服薬と注射があると聞きました。どのように違うのですか。
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
排卵誘発剤には2種類あり、その作用機序は全く違います。内服薬(一番有名な商品名クロミッド)は、脳の中枢部にある卵胞ホルモン(女性ホルモンの代表格で、排卵に伴って増えるホルモン)を認識する受容体をブロックします。すると脳は卵巣が働いていないと認識し、自然周期で卵胞を育てるホルモン(卵胞刺激ホルモン)を分泌促進し、自然周期の刺激を少し強めにします。自然周期と同じ刺激のため、排卵数は一つか多くて2個くらいです。抗女性ホルモン作用のため子宮内膜が薄くなり、子宮の中に精子を導く頸管粘液を少なくさせるため、データ的には内服薬だけだと妊娠率は低いので、そのため注射剤を併用する治療を行っております。
注射薬(HMG製剤)の作用は、直接卵胞を刺激します。昭和の終わり頃この製品が出て、当時の新潟大学産婦人科の佐藤義明講師(私の恩師)が夢の薬ができたと新聞のインタビューに答えていたのを覚えています。治療の最初には内服薬と注射を併用した治療で行っており、この治療で妊娠する症例は当院では妊娠症例全体の4割になります。(詳細は、当院HP cocola妊活プラスで)。